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Ferrari meets Quantum

Ferrari


Quantum

Quadram

Ferrari の純正ダンパー


フェラーリのハンドリング特性は、年代により、と言うよりも、その時代に採用されていたフェラーリ純正のダンパーを供給していたメーカーの特性が顕著に表れています。
シャーシ自体の設計は、ボディ剛性や重量配分も含め、さすがフェラーリというレベルにあるため、サスペンションの何らかの変更が、そのままハンドリングに表れてくる良い例です。

246 / 308 / 328 は KONI (F40 も) ツインチューブ構造のオイルダンパーは、跳ねにくくマイルドな乗り心地の反面、中速〜高速のS字の切り返しで、ダンパーの減衰力の立ち上がりが遅いため、振られやすく、いったん体制を崩した後の収束が悪い。
逆に1つのコーナーをじっくり攻めたときの達成感は、上級者ほど高く、最もフェラーリらしさを表現しているパッケージングだと思う。


348 / 355 / Testarossa / 512TR / 550は BILSTEIN(F50 も) 高圧ガス式モノチューブ構造のダンパーは、ダンパーの反応は良い反面、細かなデコボコを拾いやすく、乗り心地は若干ハードになる。
まだ初期の頃、348での扱いづらさは、後のF355やF50では大幅に改善され、フェラーリらしさが戻ってきたように思う。しかし、販売台数の増加とともに、より乗り心地が求められたせいか、タイヤの性能アップに対するシャーシのポテンシャルは十分あるのに、ソフトなスプリングレートがそれをスポイルしてしまっている。

360以降は SACHS(F430, F575, 612 も)
意外というか、やっぱりというか?Ferrari は低圧ガス式ツインチューブ構造のダンパーに戻ってきた。
高圧ガス式モノチューブ構造のダンパーにしては、不思議とフラットな乗り心地と思いきや、やっぱりツインチューブだったのかといった感じ。
それに比例して、ハンドリング特性としては、スポーツカーと言うよりもGTカーになってしまった。
シャーシレイアウト及びサスペンションのレバー比などは、それ以前のフェラーリからの継続進化と言うよりは、新時代のフェラーリの幕開けと言えるほどの大幅変更がされており、それが古くからのユーザーにどう受け取られているのかは興味深い。
ソフトなフロントスプリングは、アクセルのON/OFFだけで荷重移動を実感する。
誰が乗っても曲がるようになっているが、不用意なアクセラレーションでのオーバーステアは、サーキット以外では試さない方が良いと思います。


Ferrari用の商品

フェラーリと言えども、自動車メーカーが販売する仕様は、ファッションで乗る方や、デートカーとして使用するユーザーも含め幅広い層に対しての最大公約数になっているため、走りにベクトルをおいたユーザーには物足りなさが感じられます。
QUANTUM Racing Damper は、使用目的を絞り込むことにより、ユーザー個々の要望にできるだけ合わせた仕様(セミオーダーシステム)に設定して出荷されます。


余談ですが・・・

ABS(アンティ・ロックブレーキ・システム)
‘90年代以降の車種に関して、ハンドリングや乗り心地以上に重要なファクターがあります。
それはABS。
ABS の効き具合も含めた商品開発がされていないサスペンションキットは、最悪の場合コーナーの進入時にブレーキが効かない状態に陥ります。
例えば1Gの車高から、バンプラバーにあたるまでの有効ストロークが長すぎても、リアが浮き上がり、ABSが作動してしまい、結構怖い思いをします。
かといって、バンプラバーまでの有効ストロークを減らすと、路面の凸凹で突き上げられ、乗り心地が悪くなります。
クルマが良くできているだけに、設計者の意図を組んだ開発が必要です。フェラーリのシャーシレイアウト(=プラットフォーム)は、シリーズごとにある一定の方程式で成り立っています。